|
少女は名残惜しそうに湖面を見ていたが、木にかけてあった服を剥ぎ取った。 ――僕の後ろで彼女が服を着ている。 背中を向けたままでも布擦りの音で否応にも想像が掻き立てられる。 パーシヴァルはこれでも健康な青年なのだ。 そうだ!無心になろう。無心になれば・・・そんな事をぶつぶつ言っていると、ふいにパーシヴァルの持っている楽器に細い指が重ねられた。 「これはお前のものか?」 驚いて振り返ると、服を着終わった少女が楽器に手を重ね、パーシヴァルを覗き込んでいる。 ドレスのせいだろうか? 先ほどよりも少し大人びた感じがする。 しばし見とれる事数秒…… 「この楽器はお前のものかときている」 そこで再び我に返った。
|