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パーシヴァルは頭が真っ白になり、 うっかり手に持っていた楽器を取り落としてしまった。 (しまった) ガサガサとリュートが茂みに転がる。 その音に、こちらに気づいた少女が歩み寄ってくる。 その素肌には絹一枚纏われていない。 「お前・・・そこでなにをしている?」 少女が目の前まで来たところで、やっと我に返ると、改めて見る少女の肢体にハッとした。 慌てて顔を逸らす。 「す…すみません…別に覗いていたわけじゃ…」 自分でも分かるぐらい顔の温度が上がっている。 きっと傍目にも分かるぐらい真っ赤になっていることだろう。 その様子に、少女は不思議なものでも見るように小首をかしげた。 ――この者は何故赤くなっているのだろう?体調でも悪いのではないか? 少女が2度3度小首をかしげていたところで、どう答えようかと考えあぐねていたパーシヴァルがやっと口を開いた。 「その…服を…きてくださぃ……」 いいながらクルリと背中を向けて小さくなる。 「おかしな奴だ。服など着て水に入れば、服が濡れてしまうであろう?」 「そ・・・それはそうだけど・・・」 まるで、お前のいう事がおかしいとばかりに少女は答える。 「それに、素肌のままのほうが気持ちよいぞ?何故人はこのようなものに身を包みたがるのだろな、まったく愚かしい事だ。」 「さぁ・・・でも・・・あなたも・・・その・・・人でしょう?」 そう言われて少女の目が驚いたように開き、己の体をしげしげと見下ろすと、なるほどといった様に微笑んだ。 「そうだな。しかしお前、何故こちらを見ようとしないのか?誰かと話をする時は素の者の目を見て話せと教わらなかったのか?」 「貴方がそのような格好をしていては、そちらを向く事ができません…」 「まったくお前は面白いな。よかろう、服を着ねば話ができぬというならば着てやろうではないか」 少女は名残惜しそうに湖面を見ていたが、木にかけてあった服を剥ぎ取った。
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